【米国株投資】S&P500とVTIどっちで長期投資すべきか?(SPY vs VTI)

NISA、iDeCo、長期・分散投資、全世界株式、S&P500といろいろ情報があふれてて何に投資しようか迷ってしまいますよね。今回は、有名なS&P500とあまり知られていないマイナーなVTIを比較し、VTIの魅力について紹介していきたいと思います。

S&P500は、世界的に有名な投資家であるウォーレン・バフェット氏の妻に宛てて残している遺言書で有名になった投資先です。

資金の10%を短期国債に、90%を非常に低コストのS&P500インデックス投信に回すのです。

(同氏が経営するバークシャー・ハサウェイ社の過去の「株主への手紙」より)

S&P500は非常に優秀な投資対象と考えられますね。

しかし!S&P500よりもパフォーマンスがよく、なおかつ投資対象が幅広く、分散されたものがありました。それは「VTI」という、米国全企業に投資するものです。

結論から言いますと、

「VTIはS&P500よりも利益率が高く十分に投資対象になりえる」です。理由は、

  1. 投資対象がS&P500より多く、分散されているから
  2. 成長著しい企業群にも投資しているので利益率が高いから です。

S&P500(米国の大企業500銘柄)の概要

まず、S&P500とは「米国の大企業500銘柄の株価を元に算出される株価指数(インデックス)」です。株価指数とは簡単に言えば特定の銘柄群の株価の動きを表す数字です。アメリカの大型優良企業が多い「ニューヨーク証券取引所」と新興企業が多い「ナスダック」に上場している企業から500社選定されています。それではもう少し詳しく見ていきましょう。

1.S&P500主要構成銘柄

S&P500の主要構成銘柄トップ10は以下のとおりです。

 順位 銘柄名  比率
1 アップル  7.04%
2 マイクロソフト  6.09%
3 アマゾン・ドット・コム  4.37%
4 テスラ  2.82%
5 メタプラットフォームズ  2.25%
6 アルファベット   2.22%
7 アルファベット   2.10%
8 エヌビディア  2.01%
9 バークシャー・ハサウェイ  1.52%
10 JPモルガン・チェース  1.15%

2021年11月30日時点

組入銘柄の選定は、

  1. 米国に本拠地を置き、
  2. 時価総額131億ドル(2021年11月30日現在)以上、
  3. 4期連続黒字

など厳格な基準にもとづいておこなわれております。優良企業でなければ仲間入りできませんね。

2.S&P500過去チャート

S&P500の2001年5月24日~2022年2月14日までのチャートです。こちらは、S&P500に連動するように作られたSPYというETF(投資信託の一種)のチャートとなります。VTIの設定開始日が2001年5月24日のため、比較の都合上S&P500(ここではSPY)も同日からチャートを作成しました。

約22年間のトータルリターンは402.1%、ボラティリティ(価格変動の度合い)は19.3%でした。

VTI(米国全企業)

VTIは「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」に連動するように運用されているETF(投資信託の一種)です。「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」とは、米国株式市場の大型株・中型株・小型株までほぼすべてをカバーする指数です。

つまり、VTIに投資するということは米国株式市場全体に投資をしているということになります。

ちなみに、さきほどのS&P500はこのVTIの中の大型企業500銘柄にのみ投資しているものです。よって投資対象はかさなってきます。ではもう少し詳しく見ていきましょう。

1.VTI主要構成銘柄

VTIの主要構成銘柄トップ10は以下のとおりです。

 順位 銘柄名  比率
1 アップル  5.14%
2 マイクロソフト  4.77%
3 アマゾン・ドット・コム  3.17%
4 メタプラットフォームズ  1.90%
5 アルファベット 1.80%
6 アルファベット   1.66%
7 テスラ   1.18%
8 バークシャー・ハサウェイ 1.07%
9 エヌビディア 1.03%
10 JPモルガン・チェース  1.02%

S&P500のトップ10とほとんど変わりありません。同じ米国株式市場に投資しているわけですから。ただ、組入比率が異なります。VTIは米国全企業約4000銘柄に投資しているので、1つひとつの銘柄に対する比率はS&P500より低くなります。

2.VTI過去チャート

VTI(米国株式市場全体に投資したETF)の2001年5月24日~2022年2月14日までのチャートです。VTIの設定開始日は2001年5月24日です。

この期間のトータルリターンは464.5%、ボラティリティ(価格変動の度合い)は19.3%でした。

前半まとめ(これまでのデータ比較)

それでは、これまでのデータを比較しながら前半のお話をまとめていきたいと思います。

S&P500
VTI
 順位 銘柄名  比率  順位 銘柄名  比率
1 アップル  7.04% 1 アップル  5.14%
2 マイクロソフト  6.09% 2 マイクロソフト  4.77%
3 アマゾン・ドット・コム  4.37% 3 アマゾン・ドット・コム  3.17%
4 テスラ  2.82% 4 メタプラットフォームズ  1.90%
5 メタプラットフォームズ  2.25% 5 アルファベット C 1.80%
6 アルファベット C  2.22% 6 アルファベット A  1.66%
7 アルファベット  A 2.10% 7 テスラ   1.18%
8 エヌビディア  2.01% 8 バークシャー・ハサウェイ 1.07%
9 バークシャー・ハサウェイ  1.52% 9 エヌビディア 1.03%
10 JPモルガン・チェース  1.15% 10 JPモルガン・チェース  1.02%

上の表のとおり、順位が若干ちがうだけで銘柄は同じ。SPY(S&P500)は銘柄数がVTIよりも少ないので、名だたる大企業への投資比率は自然と高くなってきますね。今度はチャート。

青:VTI    緑:S&P500

約21年間ほとんどの期間でVTIのパフォーマンスがS&P500を上回っています。VTIには中小型株式が入っているにもかかわらず、ボラティリティもS&P500と同じ。であれば、VTIに投資するしかないというのが筆者の結論です。

VTIを分解しVTIのパフォーマンスの良さを探る(中型株・小型株を中心に)

S&P500が大型株でそこに中型と小型が入ってきたのがVTIなので、VTIのパフォーマンスの良さは、中小型株式によるものであるはずですね。そこをチャートで確認してみましょう。米国の中型株式に投資するETFは「IJH」、米国の小型株式に投資するETFは「IJR」です。その「IJH」と「IJR」を利用してチャートを作成してみました。

青:IJR(小型)   緑:IJH(中型)   茶:VTI

  • トータルリターン IJR(小型)626.7% IJH(中型)548.1% VTI464.5%
  • ボラティリティ IJR(小型)23.3% IJH(中型)21.6% VTI19.3%

ほとんどの期間でIJR(小型)のパフォーマンスがNo.1ですね。IJR>IJH>VTIという順番です。ボラティリティは高いですが、IJRの626.7%という数字はものすごい!

VTIに投資できる商品は?

VTIはETFなので直接投資することは可能です。しかし、米国に上場しているETFなので、けっこうめんどくさいことになってしまいます。何がめんどくさいかというと、

  • まず米ドルを購入しなければならない
  • 分配金があるため自分で再投資をしなければいけない
  • 分配金には米国で課税され日本でも課税されてしまう

ここらへんですね。なので、VTIに投資するためには、VTIに投資している日本で販売されている投資信託を購入するのがベストです。具体的には「SBI・V・全米株式インデックスファンド」(愛称:SBI・V・全米株式)と「楽天・全米株式インデックス・ファンド」(愛称:楽天VTI)があります。ではこの2つを比較してみましょう。

SBI・V・全米株式と楽天VTIを比較してみる

信託報酬 純資産総額 投資対象 設定日
楽天VTI 0.1620% 46,8627百万円 米国企業約4000社 2017年9月29日
SBI・V・全米株式 0.0938% 54,375百万円 米国企業約4000社 2021年6月29日

2022年2月現在

上の表より「SBI・V・全米株式」の勝利ですね。SBI・V・全米株式の方が信託報酬が低く、設定日は最近であるが、純資産総額は楽天をすでに追い抜きました!さすがです。

まとめ

  • 世間では長期投資先としては「S&P500」がいいんじゃないかと騒がれています。実は全米株式全体に投資した方がS&P500と同じボラティリティで高パフォーマンスがえられる(過去のパフォーマンスから勝手に判断)
  • 全米株式に投資するにはVTIというETFがあるが、これは米国に上場しているため、なにかと不便。
  • 日本でVTIに投資するならSBIか楽天ですが、信託報酬などの面から「SBI・V・全米株式」がベスト。

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